株主の皆様には日頃より当社へのご支援を賜りまして、心よりお礼申しあげます。
新型コロナウイルスにより影響を受けられている皆様に謹んでお見舞い申しあげます。
さて、このたび第100期(2021年4月1日~2022年3月31日)の決算を行いましたので、株主の皆様には当社の状況、そして今後の見通し等を詳細にお伝えできればと思います。ご一読いただけますようよろしくお願い申しあげます。

株式会社ヒガシトゥエンティワン
取締役 代表執行役社長  児島 一裕

Q12022年3月期の業績についてどのように評価されていますか。

2022年3月期は、コロナ感染症のリスクが残る中であっても、社員一人ひとりが社会機能維持者(エッセンシャルワーカー)としての自覚と責任をもち、各現場で奮闘してくれた1年でした。
既存事業における物流量の回復はやや遅れているものの、重点事業における事業成長が順調に推移し、売上は過去最高となる279億円(前年同期比14.4%増)、経常利益も過去最高となる16.7億円(同29.7%増)となりました。

増収を牽引した重点事業として、第1に、2021年10月より関西電力送配電㈱様向けの資材調達3PL業務の開始、第2に、首都圏における事務所移転業務の順調な成長、第3に、大手EC向け3PL業務の拡張などが挙げられます。
これらの業務の増収による増益効果や、既存事業における適正価格の収受の徹底、本社経費の節減などを図ることにより経常利益についても大幅増加となっております。

続いて、「中期経営計画2023(2021/03~2023/03期)」において重点事業に位置付ける3つの事業の進捗状況についてご説明します。
当社では、人・倉庫・マテハン(ベルトコンベアや梱包機器など)・車両・システムを最適に組み合わせる物流設計力を基盤とし、今後大きな成長が見込める事業として「3PL事業」、「オフィスサービス事業」、「ビルデリバリー事業」を重点事業に位置付けております。

―「3PL事業」

長年の輸送・庫内作業の実績・ノウハウと800社超の協力会社を持つ強みを武器に企業物流を一括して受託する「3PL事業」では、関西電力送配電様向けの資材調達3PL業務が想定以上の売上となり、eコマース向けの大型物流センターの受託量も大幅に増えました。この結果、「3PL事業」の売上高は50億11百万円(前年同期比84.0%増)となりました。

―「オフィスサービス事業」

認証・追跡システムを活用した万全のセキュリティを強みに事務所移転・引越しなどを請け負う「オフィスサービス事業」では、首都圏における事務所移転の新規獲得を目指し、営業人員、移転現場管理者など積極的な人材投資を行い、事務所移転受託案件を堅調に伸ばしました。この結果、売上高は46億95百万円(同13.0%増)となりました。

―「ビルデリバリー事業」

独自のエレベーター・荷捌駐車場管理システムなどを活用し、ビル内の配送を効率化する「ビルデリバリー事業」では、コロナ禍に伴うテレワークの普及によりテナント企業のオフィス出社率が低下し、取次物流量が大きく減りましたが、館内テナント様へのスポット営業を積み上げ、売上高確保に努めました。この結果、売上高は16億10百万円(同0.5%減)となりました。

Q2株主還元の方針についてお聞かせください。

当社は株主の皆様への還元方針として、長期的発展の礎となる財務体質の強化と、安定配当の維持を基本としつつ、成長により獲得した利益を、連結配当性向30%以上を目安に還元する方針を掲げています。
この方針に従い、2022年3月期の1株当たり予想配当金は当初20円(配当性向31.7%)と発表、その後、22円に修正発表しましたが、2022年3月期の最終的な1株当たり配当金は26円(配当性向30.3%)とさせていただきます。

昨年5月に2022年3月期の業績予想を発表した際には、グループ経常利益予算を13億円で予定しておりましたが、Q1の2022年3月期の業績状況にてお話したとおり、重点事業の牽引や既存事業の収益性の改善などが想定以上に進み、最終的な経常利益は16.7億円と大幅増益となったことから、1株当たり配当金も当初発表より増配しております。

1株当たり配当金・配当性向の推移

1株当たり配当金(円)配当性向(%)

Q32023年3月期の業績見通しについて展望を教えてください。

新ロジスティクスセンターの開設、首都圏におけるオフィスサービス事業の伸長や子会社の新規連結などが寄与するため、売上高は当初中期計画で掲げた300億円から315億円へ上方修正し、過去最高売上を見込んでいます。

2023年3月期は更なる業容拡大を目指しています。まず、「3PL事業」では、埼玉県三郷市において2022年4月、大手EC向け3PL事業を担う「三郷ロジスティクスセンター」を開設しました。「オフィスサービス事業」においても、首都圏におけるオフィス移転業務の更なる成長が見込まれています。また、2022年2月、重量物輸送などに強みを持つ山神運輸工業が新たにグループに加わったことで2023年3月期から連結の対象となります。この結果、中期経営計画で当初目標に掲げていた連結売上300億円を大きく上回る315億円(前年同期比12.7%増)を予想しており、過去最高売上となる見込みです。
損益面では、投資の費用などを計上するものの、上記に掲げた業容拡大、さらには本社間接費の抑制にも継続して取組む結果、経常利益も17億5千万円(同4.7%増)と過去最高を見込んでいます。
また、2022年3月期に特別利益が発生していたため、今期の1株当たり当期純利益については前期と同水準になると見込んでおり、配当については2022年3月期と同額の26円と予想しています。

(百万円)

2023年3月期
連結業績予想
【ご参考】
2022年3月期実績
金額 前年同期比 金額
売上高 31,500 12.7%増 27,953
営業利益 1,680 13.9%増 1,475
経常利益 1,750 4.7%増 1,670
親会社株主に
帰属する当期純利益
1,110 △1.0%減 1,120
1株当たり
当期純利益(円)
84.35 - 85.92
年間配当金(円) 26.00 - 26.00
配当性向 30.8% - 30.3%

なお、2023年3月期は中期経営計画最終年度に当たるため、3つの重点事業領域で掲げている売上目標に対する見通しについても触れておきます。
「3PL事業」については、63億59百万円を見込んでおり、当初目標の57億円を大きく上回る見通しです。「オフィスサービス事業」については50億円を見込んでおり、当初目標の50億円を達成できそうです。「ビルデリバリー事業」についてはコロナ禍によりオフィスに出社する人員が減っている影響を受け、16億75百万円を見込んでいます。当初目標の18億円の達成にはもう少し努力を要する状況です。当社グループが館内物流を担当する約1,300社のビルテナント様向けに事務所移転、レイアウト変更、メール室業務代行、災害対策品・コロナ対応の衛生用品の購買代行などの総務代行業務の獲得で売上成長を目指してまいります。

重点事業領域の進捗状況

3PL事業

積極的な業容拡大により、中期目標達成見込み

(単位:百万円) 3PL事業
オフィスサービス事業

主に首都圏での業務拡大により、中期目標達成見込み

(単位:百万円) オフィスサービス事業
ビルデリバリー事業

コロナ禍の人流抑制による影響を強く受け、中期目標の達成には、更なる進展が必要

(単位:百万円) ビルデリバリー事業

Q4今後はどのような事業展開を考えていますか。

新規倉庫の開設、M&Aなど更なる事業拡大に向けた積極投資を行い、「ヒガシ21グループVISION2030」で掲げる売上高500億円の達成を目指します。

まずは新規倉庫の開設です。ここ数年、関西エリアでは2019年10月にニッセイロジスティクスセンター東大阪、2020年7月には門真総合物流と相次いで大型物流拠点を開設してきました。また、関東エリアにおいても2022年4月に三郷ロジスティクスセンター、中部エリアでは2022年5月に小牧物流センターを開設したところです。これらに加え、需給がひっ迫している関西エリアに新たな大型物流拠点として、北大阪ロジスティクスセンターを2023年4月に開設します。主要高速道路へのアクセスが良く、関西の主要物流集約地である北大阪トラックターミナルに隣接するベストポジションにあり、大阪・関西万博の開催などで見込まれる物流需要の増加を取り込む橋頭保として位置付けています。
次にM&Aです。当社グループではこれまで、相乗効果を発揮できるパートナーとの効果的な連携を目指し、M&Aを行ってきました。2016年11月にはユートランスシステム、2017年7月にはイシカワコーポレーション、2020年1月にはワールドコーポレーション、そして2022年2月には山神運輸工業をグループ会社化しています。今後も機を見て積極的にM&Aに取組んでいきます。
当社グループが手掛ける物流事業は事業や生活に必要なモノを円滑に動かす社会インフラとして重要な役割を担っており、持続可能な企業経営の実践が欠かせません。現在、労働環境整備の一環として女性活躍の推進に取組んでおり、大阪市の「女性活躍リーディングカンパニー」認証事業において、当社は二つ星企業に認定されています。「働きやすい職場認証」についても2022年2月に対象のグループ5社で取得することができました。また、2019年には指名委員会等設置会社への移行を果たすなどコーポレートガバナンスの充実にも努め、透明性の高い経営を目指しています。
2022年4月には東証スタンダード市場に上場しましたが、今後はプライム市場を目指し、更なる企業価値の向上に努めていきます。

Evolution for Customers 全進で未来へシンカ